アンケートや手製の日めくりカレンダーを提供して“何でも相談できる薬剤師”を目指す
現在フクチ薬局では、福地先生を含む3名の薬剤師を中心に在宅医療に取り組んでいるが、在宅を始めた当初と比べて、患者に対する関わり方が全く変わってきたという。
「最初は患者さんのお宅に伺って、薬をお渡して簡単に説明するだけでした。患者さんの状態を見極めるということはまず頭になかったですね。ただ色々な患者さんと接しているうちに、“これは患者さんの生活環境まで見なければ、本当の意味での在宅医療とは言えないのではないか”と感じるようになっていきました。
また今までは服薬に関して、コンプライアンスという言葉が使われていました。これは医師の指示からの一方通行で患者さんに服薬してもらう状態で、次にアドヒアランスという言葉が使われてきます。患者さんにも理解をいただいて服薬してもらうという方式ですが、これも患者さん側からすれば不十分で、今ではコンコーダンスという言葉が登場してきました。服薬に関する患者さんの意見を十分に尊重して、その後に医師と患者さん、看護師、薬剤師が連携・協力し合い、合意の上で治療に臨むという状態です。
例えば先のポリファーマシーの問題でも、患者さんがこの薬を飲めないのはなぜなのか、薬の量が多いからか、あるいは形が大きすぎるからか、これは医師には分かりません。それを助けるのが薬剤師の役目です。今後服薬支援に関しては、コンコーダンスの概念に大きくシフトしていくでしょう。薬剤師が果たす役割は、ますます重要になっていくということです」。